心地よい住空間を追求
7月中旬、肌にまとわりつくような夏の暑さのなか、東京都町田市の住宅街に建つ株式会社シナジーデザインカンパニー 浜野氏が担当されたT様邸を拝見させていただきました。
大きな切妻屋根が特徴的なT様邸は、外壁の2階部が濃紺のガルバリウム、1階部はウイルウォール T&Gクリア スクウエアで構成されています。
木製外壁メーカーの性でしょうか。ついつい気になってしまい外壁の納まりなど食い入るように見てしまいました。基本のスカーフジョイントに始まり、開口部と外壁部の納まり、窓枠の納め、外壁の灰汁対策など、設計から施工まで非常に考えられた丁寧なお仕事をされており、拝見させていただいた弊社スタッフも改めて勉強させていただきました。
今回のT様邸では、住宅における温熱環境の大切さに共感をいただき、外皮の高性能化を実践されました。南面・西面を中心に高性能木製トリプルガラスサッシを採用いただいております。
浜野氏にT様邸を設計された時の思いを伺いました。
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Q)住宅を設計する際のスタンス、ポリシーをお聞かせください。
A)住宅設計の際、まず私が考えるのはクライアント様のヒストリーです。「いままでどのような環境/空間で生活されてきたか?」「一日の生活パターン・リズムは?」をヒアリングさせていただきます。
住環境は決して美術館や商業施設のように全てが『非日常』ではありません。
当然クライアント様にとって新しい住空間も居心地の良い場所でなければなりません。
では人が感じる『居心地の良さ』とは。
それはその人の『経験値』と新しい空間に対する『思想』のバランスだと考えています。
だから『ヒストリー』を確認させていただき、クライアント様がいままで経験してきた良い空間、駄目な空間を整理し、感じた良い空間に新しいエッセンス(+α)を考えます。
Q)今回、温熱環境も重視した住宅を施主へ勧めようと思った理由、キッカケを教えてください。
A)基本的に『建築デザイン』は『機能』が成立し、初めて意味をもつものだと考えています。
ではクライアント様にとって、何が『機能』として必要なことなのか?
百人百様です。求められている事は常にかわります。
ただ『住空間の室内環境』は全てのクライアント様に共通する『機能』だということをチャネルオリジナル営業担当の森下氏に教えていただきました。
たしかにその通りだと思います。その事がきっかけで、今回のT様にご提案しました。
Q)性能を引き出すために設計で工夫したところ、頭を悩ましたところを教えてください。
A)やはり断熱/気密性能です。
気密・断熱を如何に連続させるか、特に大庇と壁の断熱の取り合いや通気の関係をどう納めるかディテールに頭を悩ませました。
機能とデザインの両立は今後も決して正解のない問題だと思いますが、クライアント様には最善のご提案を続けていきたいと考えています。
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外皮の断熱仕様は屋根 200㎜、外壁 100㎜のロックウールボード断熱システムを採用され、一定の気密性能を保持されています。
Q値=1.34
年間暖房負荷(20℃)=20.66GJ/棟・年
総一次エネルギー消費量=58.91GJ/棟・年
※建もの燃費ナビより計算
我々がお伺いした時の室内環境は、一階リビングの気温は27度、湿度74%、二階の共有スペースは気温26.8度、湿度73%という状況で、当初予想していたより湿度が高いイメージでした。これはおそらく訪問当日、今にも雨が降り出しそうな曇り空であったことに加え、プロカメラマンによる写真撮影もあり人の出入りが頻繁であったことと、度々玄関ドアが開けっ放しになっていたことなどが重なったためと考えられます。平時は、湿度60%辺りで推移していると思われ、より快適な環境が実現されていると推察しています。
約1年住まわれている施主のT様にお話をお伺いすることができました。
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◆住宅の性能について
Q)以前住まわれていた住宅との違い(快適性や空気感とか冷暖房機器の使用頻度など)を感じるところはどんなところですか?
A)基本的には室内の冷暖房はルームエアコン一台でまかなえています。
今年の冬も真冬日の数日だけ補助的に他の暖房器具を使用しましたが、基本的にはエアコン一台で十分でした。使用頻度も以前の住まいよりもだいぶ減ったように感じます。
共働きなので、平日の日中は家を空けることが多いですが、外皮の断熱性が高いせいか真夏でも帰宅時は30度を少し超える程度です。冷房の効きも良く短い時間で適度な27~28度に落とせるので、長時間付けっぱなしということはほとんどありません。温度を落とすというより、不必要な湿気を取り除くために使用するといった感じです。
Q)風邪や花粉症などその他体調不良が軽減されたという実感はありますか?
A)以前から花粉症には悩まされていました。この家に越してきてから症状がかなり軽減されている実感があります。(奥様談)
Q)睡眠の質が良くなった、疲労感が少なくなったなどを感じる事がありますか?
A)もともと寝つきはいい方なので、その辺りの変化はあまり感じません。
Q)木製サッシの断熱性能を実感することはありますか?
A)大きなテラスドアを背に食事を取っていますが、そういえば冬場でも嫌な冷気を感じることはありませんでした。
◆建材や設備について
Q)自然素材に囲まれてお住まいに住まわれていかがでしょうか?
A)無垢フロア材の素材感について満足しています。肌触りが良いせいか子供達もすぐに裸足になりたがります。床暖房は入れていませんが、基礎廻りに対してもきちんと断熱を施していただいたこととオイル仕上げの無垢材のせいか、冬でも嫌な冷たさはないので自然の温もりを素足で楽しんでいます。
木製サッシについては、木の枠の風合いが気に入っています。ただ結構重量があるので、小さい子供には触れさせられないという思いはあります。
Q)換気システムの設定や運転音など気になることはありますか?
A)本体がある収納室の扉を閉めておけば、ほとんど気になることはありません。扉を開けていると多少気になる時もあります。
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一つひとつこだわりを持って設計される浜野氏に導かれるようにして実現したT様邸。
実際にご訪問し、施主T様と浜野氏のお話を伺っていると、これから年を経るごとにこの建物の良さが一層引き出されてくるだろうという確信に近い期待が込み上げてきた住宅でした。
許されるようであれば、数年後にどのような暮らし振りをされているのか改めてリポートしてみたいと感じています。
シナジーデザインカンパニー様がこれから手掛ける住宅設計についても注目していきたいと思います。
[T様邸御採用商品]
窓:高性能木製トリプルガラスサッシ
天窓:べルックス
断熱材:ロックウール撥水ボード断熱システム(屋根 200㎜ 外壁 100㎜)
外壁:ウイルウォール T&Gクリア スクウエア
床材:ウォールナット(胡桃)ラスティックグレード クリアオイル塗装
ウッドデッキ:ウェスタンレッドシダーデッキ材
問合せ先:株式会社シナジーデザインカンパニー一級建築士事務所 http://www.synergy-d.co.jp/