熟慮されたゾーニング、驚きのQ値
まさに無駄をそぎ落としたファサードに断熱強化をした結果、33坪の大きさで熱損失係数(Q値)が0.79W/㎡Kと驚きの低い数値である。
300㎜を超える壁や屋根の断熱材、U値0.8W/㎡Kのドイツ製の窓(UNILUX)などは室温を抜群に安定させるだろう。しかし建築を数値で語ることなかれ。決して効率だけを重視しての結果ではない。ワンルームで大きく使える室内は、単純なようでこういう住まい方を選択できるのは難しい。キッチンやダイニング、階段などそれぞれの領域をクロスオーバーさせることでコンパクトながら狭さを感じさせない空間である。外壁にはレッドシダーを全面に使用した。初々しい表情は1年も経つとグレーがかった落ち着いた色合いになり、背景の田園に溶け込んでくれるだろう。輻射冷房設備や循環型レンジフード、太陽集熱温水器などテクニカルな要素も取り入れて頂いたが、なるべく建築に溶け込んで普段の生活に印象を与えないように気を使った。内外装ともシンプルな構成なだけに時間が経って素材の良さが際立ってくるのが楽しみである。 所在地:秋田県大仙市 設計:もるくす建築社 |