性能+デザイン+素材 戸巻の家
秋田県大仙市の住宅地に真っ白な漆喰壁と部分的に使われている木外壁とのコントラストが印象的で素敵な住宅があります。訪れたのは、昨年の10月下旬。夕暮れ時(17時前後)で気温も下がり始めたことと、風の影響もあって、震えるほどではないものの充分冬の訪れを感じる気温です。
竣工は2012年の4月で、延床面積は40坪、リビングが吹き抜けの2階建て。
Q値=0.81。C値=0.5 c㎡/㎡。
[断熱材仕様]
基礎/EPSt200 壁/HGWt90+木質系断熱材t120 屋根/木質系断熱材t360
設計者である もるくす建築社 佐藤様の計らいと施主様のご厚意により、中に上がることができました。
中へお邪魔すると、暖房器具の類は一切使用されていないにも関わらず、程よい室内温度に保たれています。窓はペアガラスの高性能木製サッシを採用されており、窓際に近づいても嫌な冷気は感じません。
内壁は外壁と同じ真っ白な漆喰(ライムフィラー)で仕上げられており、その漆喰壁にオークの床や木製のテーブル、家具が配置されることで、全体的に柔らかな空間が演出されています。自然素材で構成されたインテリアが生み出すぬくもり感と暖色系照明の相乗効果も手伝って、快適な温熱環境の一端を肌で感じることができます。
冷暖房設備は、温水パネルヒーター、エアコン(2.8kw)1台(2階設置)、リビングに薪ストーブが1台。
施主様からは、「引渡し後の約1ヶ月はパネルヒーターを使用しましたが、それ以外の暖房機器は使用せずに十分快適な生活ができました。夏は、夕方に室内温度が上昇してくるのを感じ、夕方から夜にかけて除湿の意味も含めエアコンを使用しましたが、朝からお昼過ぎにかけては殆んど冷房を使用しなくても快適に過ごすことができました。」とお話を伺いました。お伺いした当時は、これから初めての冬を迎えるのでどうなるか楽しみといったご様子でした。
今年に入り、秋田を含む北日本は非常に厳しい冬を迎えています。
もるくす建築社様の建物を体感した者として、この厳冬の中でも施主様が温熱環境的に快適な生活を送られていることに疑う余地はございませんが、実際の暮らし振りはどうであったのか、もし機会がございましたら、また施主様の生の声をお伺いしご報告いたしたいと思います。
住宅の温熱環境に精通されている佐藤様ですが、設計の仕事をはじめられた当初ドイツへ建築視察に行ったときに、考え方や性能、デザインのレベルの違いに驚かれ、これまで以上に性能+デザイン+素材の追及するようになったそうです。
デザインコンセプトは、「普遍的でシンプルかつ素材感を大事にすること」。もるくす建築社様に依頼に来られる施主の多くは40歳代と若めで、その大半の方々は時間の経過とともに好みやライフスタイルが変化していくだろうという想定の下、変化に対応しやすいようにできるだけシンプルなプランを心がけているそうです。
提供する温熱環境は家づくりに最低限必要な機能としてあるべきもので、それよりも自分が設計した家に住んでいただくと「どう暮らしが変わるのか?」、その家の良さやそこでの暮らしのイメージをお客さまに具体的に伝えることを大事にされています。
佐藤様は、建築設計の傍ら各地で開催されるエコ住宅セミナーの講師としてもご活躍されています。
問合せ先:もるくす建築社 http://molx.co.jp/